ストーカー物AVが本当のストーカー事件でお蔵入り

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ストーカー物AVが本当のストーカー事件でお蔵入り

AVコラム

工藤タツオ(AVカメラマン) 0 1,249 2017/07/24

ストーカーという言葉が日本で知られるようになったのは、30年くらい前からだと思う。

女の子につきまとうのだから、ストーカー物はAVにうってつけで、何本かそういったストーリーの作品が作られた。

ストーカー物がそれほど多く作られなかったのは、まだストーカー行為そのものが、日本人になじみがなかったからだろう。

ストーカーは新しいタイプの犯罪

その頃の日本人には、女の子につきまとうのは犯罪だという認識が薄かった。

「好きなんだからしょうがないじゃん」
それで済まされる時代だった。

それが一気に「なじみ」ができたのは、1999年に桶○ストーカー事件が起きたからだ。

このときは、警察が介入したことを警官が相手の男に知らせたために、ストーカー被害の女性が殺されるという最悪の結末になってしまった。

これ以後、AVでストーカー物はまったくといっていいほど姿を消してしまったんだ。

理由は簡単だった。

もしまた重大なストーカー事件が起きて、犯人にAVのストーカー物を見て、刺激されてやったといわれたら困るからだ。

AV会社はビクビク

当時のAV制作会社は、どこも警察に目をつけられないようにと、そればかりを考えていたからね。

実は、この桶○ストーカー事件の直前にストーカー物の企画があったらしい。

その頃、僕はもうこの世界から足を洗っていたので、業界にいる知人から聞いた話だけど、まだ企画だけで撮影はしていなかったようだ。

だけど、あんな大きなストーカー事件があったら、もうストーカー物は作れないということで、企画そのものがお蔵入りになってしまったらしい。

AVでは珍しく1000万円以上の予算がついて、シリーズ化する予定だったようだから、実現したら案外面白いものができたかもしれない。

そう思うと、ちょっと残念な気もする。

AVって、そのときの社会情勢に左右されやすいんだよね。

視聴者から苦情が出るようなものは作れないから、タイミングが悪いとこのストーカー物のように、まったく日の目を見ないことになる。

いじめ問題がAVにならないわけ

似たような例はほかにもある。
かつて、いじめをテーマにしたAVが企画されたことがあった。

ちょうど学校のいじめが問題になり始めた頃で、AVでも使えそうだと企画が進められた。

ストーリーはこんな感じだ。
小学校からずっといじめられていた女の子が、暴走族に入っていじめていた同級生たちに仕返しをする。

同級生の女の子たちが、次々と暴走族の連中にレイプされるわけだ。
いかにもAV向きだよな。

あるいは、いじめられていた女の子が体を鍛えて、いじめっ子の男子生徒を次々と捕まえて、逆レイプしていくというのもあったようだ。

ところが、いじめがだんだんエスカレートして自殺者が出るようになると、さすがにAVは作れなくなった。

ストーカー物と同様に、いじめをテーマにしたAVも二度と作られることはないだろう。

話は変わるけど、ストーカー事件で前から気になっていることがある。

警察への不当な批判

それは、何かと批判されがちな「警察の不手際」ってやつだ。

桶○ストーカーのときも、電話で犯人と話したときに警察官だと名乗ったことから、被害者が警察に相談したことがわかって犯人が逆上した。

でもさ。

このやり方で、世の中のストーカー被害のほとんどが解決してるんだよね。

ある女の子のことが好きでたまらず、つきまといたい気持ちって、男なら誰でもわかるよね?

だけど、それはやってはいけないことだと、ほとんどの人は自分の心にブレーキをかける。

でも、中にはブレーキがかけられず、つきまとってしまう男がいる。
これがストーカーだ。

本人も卑劣なことをしているのは十分自覚している。
だけど、それでもやめられないわけだ。

そこへ警察から電話がかかってきた。
ほとんどの男はここで目が覚めるよ。

相手の女の子は、警察に訴えるほど自分のことを嫌がっている。

だったら、もうこのへんでやめるべきだ、とね。
これが常識のある普通の男だよ。

この段階で、1万人のうち9999人がストーカー行為をやめるだろうよ。

もしやめなければ、このことが会社に知れたらどうなるか。家族に知れたらどうなるか。

それは考えればわかることだから。
だったらどうすればいいか。

ここで、たいがいの男は常識的な判断をするはずだ。
もうつきまとうのはやめよう、とね。

だから、警察が介入したことを知らせるのは、ストーカー行為をやめさせる有効な手段なんだよ。

だけど、1万人にひとりくらい、常識的な判断ができない奴がいるんだよ。

警察に知らせたことを恨んで逆上する奴が。

そういう奴は常識が通用しないから、遅かれ早かれ女の子を殺害したに違いない。

だから、警察が介入したことを知らせたから殺害されたというのは、ちょっと違うと思うんだよな。


文|工藤タツオ(AVカメラマン)



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この記事を書いた人

工藤タツオ(AVカメラマン)

AVカメラマンの経験がある異色のライター。現在はアダルト小説と サブカル記事を書いているが、アダルトネタはAV撮影時代の経験を元にしたものも少なくない。

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